「なんでだと思う?」について

こんにちは。
ガリレオサイエンス教室で働いています三宅です。
実験の教材の用意をしたり、授業をしたりしています。
親御さんに少しでも安心をお届けできればと思い、私が何を考えてお子さんとかかわり、授業をしているのか、月に1回、発信していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

今回のテーマは、「なんでだと思う?」についてです。

私は、人生を自分らしく生きようと思えることが、幸せだと思っています。
自分らしく生きようと思えるには、自分で考えて行動できるようになることが大切です。そこで、お子さんが「見て、見て、これおもしろい!」と言ってくると、これは考えさせるチャンスだと思い、意識して、「なんでだと思う?」と問いかけるようにしていました。そうすることで、お子さんが自ら考えるようになると思っていたからです。
しかし、よかれと思って問いかけていたのにお子さんは、だんだん元気がなくなっていきました。興味を失っていくように見えました。その反応を見て、なにかおかしいと感じました。どこが間違っているのか考えました。

私は、「なんでだと思う?」と言いながら、自分の中で正しいとされるひとつの答えを持っていました。(水の方が密度が大きいからだよ。など)そして、お子さんが自分なりに必死に考えたこととその答えが違うと、「え? その考えだとこうだけど…」としぶい反応をし、お子さんがその正しいとされる答えにたどりつくまで、何度も問いかえしていました。今から思うと問いつめていました。
これでは、お子さんは、私が考える答えを当てなくてはならないことになります。私の反応をうかがい、答えを探ることになります。すると、当たり前の反応として、お子さんは考えることが楽しくなくなっていきます。苦しくなって、考えるのをやめます。どうせ答えが決まっているのですから、答えを待つようになります。この世の中の疑問には、すべてもう答えが出ているもののように感じます。つまらなくて、つらいものです。
お子さんが「見て、見て、これおもしろい!」と言ってくるのは、自分が感じたわくわくした気持ちやどきどきした気持ちを分かち合いたいだけなのです。それなのに、正解ありきで問いつめられると、気持ちがしぼんでしまいます。

今度は、正解ありきで質問するのではなく、お子さんの感じたこと考えたことをそのまま受け入れてみることにしました。すると、意識して質問していたころよりもかえってお子さんは自分で考えるようになりました。
「わー、おもしろいね。」だけで、まずはよかったのです。
気持ちを受け入れられたお子さんは、安心します。世の中が、すばらしくてきらきらしているものだと感じます。そのうえで、「なんでだと思う?」と聞きたいなら聞いたらいいのです。ただしこのとき、どんな意見であっても否定せず、聞くことが重要です。論理的であるかとか正解であるかどうかが大切なのではなく、聞いてもらえることで、考えることが楽しいと感じられることが大切だったのです。考えることが楽しいと感じる経験によって、お子さんはその後も考えようとし続けるようになるのです。

その経験から今は、お子さんの感じたことを大切にして、お子さんの考えをいっしょに楽しめばいいのだと思うようになりました。「おもしろいねー」とか「ふしぎだね」などと返すと、お子さんがそのあとも楽しんで、考える姿が見られます。つい答えに導いたり、教えたい衝動にかられますが、お子さんが自ら考えるようになるためには、感じたことを分かち合い、お子さんの考えをじっくり聞くことが大切だと感じています。