授業報告(11月)

こんにちは。ガリレオサイエンス教室の三宅です。

月一ブログ、発信いたします。【12月27日発信】

今回は、パスカル(小4)クラス、テーマは「呪文で浮いたり沈んだり」です。

水にものを入れると浮いたり沈んだりします。
どういうものが浮いて、どういうものが沈むのか。浮く沈むはどうやって決まっているのかを調べる実験です。

まずは、いろんなものを水に入れてみます。
はさみ、消しゴム、えんぴつ、プラスチックの定規など、みんなもよく使っているもの。
鉄のくぎ、スーパーボール、スポンジ、ろうそくなど、みんながよく使うものではないけど、知っているもの。
発泡スチロールの板、スチールウールなど、あまり馴染みのないもの。
いろいろなものを用意しました。
実験をする前に自分なりの予想をします。

「はさみは、当然沈む!!」
「ろうそくは、水をはじくから浮くんじゃない??」
「プラスチックの定規は軽いから浮く!?」
「スーパーボール……夜店で見たことある! 浮いてた!! から浮く!!!」
「スチールウール?? これか……!! 鉄のたわし……なんかふわふわしてるから浮きそう? でも鉄だから沈む??」
実際のものを見たり、触ったりしながら、予想が進みます。
人が言っていることに心が揺れたりもします。
自分なりに今ある知識や経験、想像を働かせて、こうかな? いや、こうかな? と悩むことで、考える楽しさを感じます。
予想は、正解することが目的ではありません。
自分なりに考えることが大切です。
あれこれ考えることで、水に浮く沈むが何で決まるかの疑問が自分ごととなります。

 

班のみんなが予想ができたら、実験開始です。
実験の準備もお子さん自身に任せます。
 
「おもいー、手伝ってー」
「うん、じゃあ、こっち持つねー」
「ここに置くよー」
「せーっの!」
「おもかったー」
お互い声をかけ合ったり、助けを求めたり、助けたりして、自分たちでやる喜びを何度も感じます。
 

水にいろいろ入れてみます。
自分なりに予想しているので、興味深く実験が進みます。
 

「あれー?? 沈んだー!」
「そんなわけ…… 浮いてる! ……??」
「あっ、やっぱり!! 浮いた!」
「つぎー、これは……?」

予想通りの結果だったり、予想外の結果だったりする事実を見て、
水に浮く沈むはどう決まっているのか、ますます気になります。

軽いものが浮いて、重いものが沈む?
小さいものが浮いて、大きいものが沈む?
何でできているか(ものの素材)で浮くか沈むが決まっている?

たしかに、木でできたものは浮き、鉄やガラスでできたものは沈んでいます。

では、どうしてその素材は浮くのでしょうか、また、沈むのでしょうか。
電気を通すか通さないか、
磁石にくっつくかくっつかないか、
水をはじくかはじかないか、
光を吸収するかしないか、
空気が入っているか入っていないか、
……いろいろ考えられます。

今回はその中で重さに注目しました。
『軽いものが浮き、重いものが沈む』と仮説を立てました。
木の棒、鉄のくぎ、鉄球を用意しました。
それぞれの重さをデジタルスケールで計って、水に入れます。
 

「鉄球がころがるー」
「こんなんどう?」
鉄球は転がっていくので、転がっていかないように工夫していました。
デジタルスケールの入っていた箱を使ったり、
たまたまふでばこにあった紙で支えたり、
実験室にあるアルミホイルケースを使ったり、
それぞれの班でいろんな方法があって、面白いです。

仮説を調べた結果、単純に軽いから浮く、重いから沈むわけではないことがわかりました。
じゃあ、どうする? 困りました。

「大きさがちがうもので比べてもあかんのじゃないの?」

たしかに先ほどは、少し大きい木と小さめの鉄とを使っていました。
そこで今度は、同じ大きさで比べてみることにしました。

上皿てんびん、同じ大きさの金属、ロウ、消しゴム、木、同じ大きさの水が入る器を使って、重さを比べたり浮くか沈むかを調べたりします。やり方は先生が教えるのではなく、お子さん自身で考えます。班ごとに実験が進みます。
 
 
 
 
「水と鉄とでは?」
「鉄と木とでは?」
「ロウと木では?」
上皿てんびんにのせて、重さを比べてみます。
水に入れてみます。
とりあえず思いつくことを試します。

そのうち
「重い順に並べてみよう」
「水より軽いと重いで分けてみよう」
などと意見が出てきます。

最終的には、
『同じ大きさの水と重さを比べたときに、軽いものが浮いて、重いものが沈む』
を発見します。

理由や理屈ではなく、そのようになっているという事実を確認します。

この宇宙は、こうなっている。
自分の手で自然界に流れる原理原則を発見したことに感動し、興奮します。

そして、何げない日常の裏側で、原理原則が常に働いていることを自覚し、世界の凄さを感じます。
単純な重さではなく、「同じ大きさの」水と重さを比べたときに、軽いものが浮き、重いものが沈む。

水に浮く沈むの法則に関係のあるインテリアのボトルウェーブを作りました。
インテリアにも自然界の原理原則が使われていることを知ることで、世界が自分に近くなります。
作ることで、豊かさも感じます。
 

自分で道具を用意したり、水を入れに行ったり、必要なものを取りに行ったり、
ビーズを選んだり、色を選んだり、色の濃さを調整したり、自分でやる楽しさを感じます。
 
 
 
自分で作ったものが完成すると、やっぱりうれしいです。

水に浮くか沈むかを調べたいときに、いつもいつも同じ大きさのものを用意できるわけではありません。そこで、計算で出す方法を学びます。
自分で、計算上同じ大きさにするという体験をすることで、自分にもそんなことできるんだ、という意外さを感じ自信を身につけます。
 
 
 

最後に浮沈子(ふちんし)というおもちゃを作りました。
ペットボトルの中に醤油さしのお魚が水に浮いていて、ペットボトルを押すと沈みます。手をはなすとまた浮きます。
 
 
 
 

おもちゃの動きが、先ほど発見した法則にのっとっていることを知り、感動します。
知ったとき、人に話したくなります。
お子さんは、親御さんに「そうかー」と話を聞いてもらえることがうれしいです。
そのとき、多少お子さんが「え? それちがうんじゃない」というようなことを言っていても、話をさえぎらず、聞いてもらえた経験が大切です。
聞いてもらえた経験で自信を持ちます。

自然界の原理原則を自分で体感していくことで、世界ってすごいな、不思議だな、美しいな、と感じます。
その体験を何回もすることで、そんな世界に自分が生きていることがうれしくなります。
そのうれしさを何回も感じることで、自分の人生を自分らしく豊かに生きられるようになってもらえたらと願っております。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

三宅恵里香