授業報告(2023年11月)

こんにちは。ガリレオサイエンス教室の三宅です。

月一ブログ、発信いたします。【12月11日発信】

今回は、ガリレオ(小2~小3)クラス、テーマは「蒸気でポンッ! とポンポン船づくり」です。

水があたたまるとどうなるのかを知り、そのとき何が起こっているのかを調べる実験をします。最終的にはポンポン船を作って、走らせてみました。

まずは、水はあたたまると、どうなるのか。
お子さんは、「お湯になる!」「水蒸気になる!」「蒸発する!」など、知ってることを言います。
当たり前にわかっていることとして話します。
それをあらためて、観察します。

今までも見たことが目の前で起こるかもしれないことも含めて、今まで気にもしなかったことに気づくことを楽しみます。

今回は、水をあたためる道具としてアルコールランプを使っていきました。なので、実験の前にマッチの練習とアルコールランプの練習をしました。火を扱う回は、必ず練習をします。「前回もやったから、もう練習しなくて大丈夫だよー」「もう、知ってる!!」「できるよー」と、お子さんはマッチが使える、アルコールランプが使えることが自信になっているようです。前回まではできなかったお子さんも今回はやってみたらできたということもあります。そのうちできるようになります。無理にやらせたりはせず、お子さんそれぞれの成長段階を見守ります。

 
(うわ、ついた。いち・にい・さん・よん・ごー……、23秒持てた!)
 
(自分の方から向こうに芯の上を通り過ぎて……、火ついた!)
(ふたを横から近づけてー、よし、火消えた! できた!)
お子さんはうれしそうです。この繰り返しを経験することで自分への自信、信頼を感じてもらえたらと思います。

練習が終わったら、いよいよ実験です。
テキストを見て、テーブルごとに準備してねということを伝えます。あとは、お子さんたちが、テーブルごとに話し合いながら、道具を取りに行きます。
 

「丸底フラスコって、どこ?」
「あっ、もうスタンド持ってきたよ。」
「アルコールランプ持つよ。」
などと声をかけ合いながら、進んでいきます。

道具の組み立てもお子さんに任せます。
自分たちでやることを大切にしています。自分たちでやれることを楽しみます。
人(自分も含めて)を傷つけること、物を無駄にすること以外、自分で考えて行動することを見守ります。
 
 
 

道具を組み立て終わると、いよいよ水があたたまるとどうなるのかを調べます。
アルコールランプに火をつけて、あたため開始です。
今回は、水やフラスコなどの様子と一緒に温度計で温度も観察しました。
 
 
 
 
 
 
お子さんたちは、温度がどんどん上がっていくことにもり上がったり、あたためはまじめたときの水自体はそれほど変化がないことにつまらなさそうだったり、さまざまな感情を感じます。
細かな変化に気づくお子さんもいらっしゃいますので、まわりもそれに気づいて、面白がったりしながら進みます。
「ふっとう石が消えた」「金あみがまっかー」「机、あったかー」などの関係なさそうな発言もすべて大事なこととして受け入れます。大人はついつい、大人が見てほしいものにだけ注目させたくなるのですが、お子さんの目の前で起こっていることすべて大切にしています。

あたためはじめると、フラスコをさわろうとしたり、火の上に手を持っていこうとするお子さんもいらっしゃいます。でも、こちらは、本気でやけどをするあつさでない限り、それを止めたりはしません。見守ります。すると、そんなにあつくないんだ、今はちょっとあったかいだけだった、今度はちょっとあつっだった、この調子なら、もうさわるのは危険かもとさわらなくなります。自分で加減するようになります。もちろん、お子さんが予期できない危険もありますので、その場合は、様子を見守りながら、必要な声かけをします。
はじめから、あぶないからと禁止すると、自分で考えなくなるので加減したりもしなくなって、考えずいきなり危険なことをするようになります。

次は、水があたたまるとどうも減っていることがわかるので、どこへ行ったのかを調べました。
ふうせんでつかまえられるか確かめてみます。


結果はふくらむです。ふくらんでいく様子を楽しんだり、怖がったり、面白がったり、わくわくドキドキです。

ふうせんの内側に水滴を発見するお子さんもいらっしゃいます。

火を消すとふうせんはしぼみ、中から水滴が出てきました。

水はあたたまると、目に見えないものになって、空気中を飛んでいく。このとき、大きさが大きくなるようだとわかりました。

それをふまえて、今度は、試験管に少し水を入れて、コルクの栓をした状態で、水をあたためます。
それを伝えると、お子さんは、「水が爆発する?」「コルクが飛ぶ?」「試験管が破裂する?」と予想がはじまります。
実際にやってみます。
 
結果は、コルクが勢いよく飛びます。
予想していても、実際に目の前で見ると、びっくりしていました。

次は、蒸気機関のもととなったものを楽しみました。
「アイオロスの球」という、今から2000年ほど前に、ギリシアのヘロンという人が発明したものです。
水をあたためるだけで、回り続けます。
 

最後にその蒸気の力を利用したポンポン船を作ります。
 
 

ポンポン船を走らせました。
船を走らせるためのプールの水も自分たちで用意します。
 

自分の船が走りはじめると、うれしそうです。
自分で作ったものが動くことに感動することで、自分への自信につながるのだと思います。
 
「船さわると、ぷるぷるしてるー!」「えっ、どれー?」
お子さん同士で楽しそうです。
こちらが思っている以上にお子さんはさまざまなことを感じていることにいつも感心します。

 
 

今回の実験では、水はあたたまるとどうも大きくなるようだということを知りました。

蒸気機関は、産業革命のもととなった大発明です。
それまでは、人や牛や馬などの動物がものを動かすしかなかったものが、水をあたためることで休むことなく大きな力を使えるようになったのです。蒸気船や汽車が発明されて、世界は変わりました。

水があたたまると大きくなる、たったそれだけのことを使っているのに、世界中が変わった。しょうもないのにすげー。世界変えるってシンプルなんだな。世の中むつかしくない。ことを知って自分も行動できる人になってもらえたらと思います。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

三宅恵里香