授業報告(2024年4月)

こんにちは。ガリレオサイエンス教室の三宅です。

月一ブログ、発信いたします。【5月31日発信】

ガリレオ(小2~小3)クラス、テーマは「さとうの七変化!」です。

さとうはあたたまるとどうなるかを調べる実験です。

水はあたたまるとどうなるでしょうか。
しおはあたたまるとどうなるでしょうか。
さとうはあたたまるとどうなるでしょうか。

ものによって、あたたまったときの様子はちがうかもしれません。
今回は、たまたま、さとうです。

あたためるためにアルコールランプを使います。新年度最初の実験ですので、はじめてアルコールランプを使うお子さんもいらっしゃいます。
アルコールランプは、マッチを使って火をつけてもらいますので、マッチの使い方の説明からはじまります。

どう使うかがわかったら、実際にマッチで火をつける練習をします。
1回目は、つけてすぐに消す。2回目は5秒待って消す。3回目は10秒待って消す。4回目は、自分の限界で消します。

やる前は、「こわい……」との発言もあります。こちらは、「こわいかー」とお子さんが感じた感情を受け入れます。わき出てきた感情を大切に扱います。「やりたくない」との主張も受け入れます。

ただ、「こわい……」「やりたくない」などに対して、「こわいかー」「やりたくないかー」とそのお子さんの感情をそのまま受け入れたことがお子さんに伝わると、やってみてもいいかなと思えて、実際には挑戦することの方が多いです。感情を受け入れてもらえたという安心感が前に進めるようになるようです。

もちろん、今は無理なお子さんもいらっしゃいます。そのときは、「つけなくてもいいよ」「ここで見とく?」などの対応をします。その感情を無視して無理にやらせることはしません。そのうちできるようになることを知っているからです。今、無理にやらせてもイヤになるだけです。

「こわい……」という感情を無視されると、やってみようかなと思えなくて、どうしてもやりたくないという気持ちが大きくなったまま結局いやいややらされるか、なにがなんでもやらないことになるかです。そんなふうに自分が抱いた感情を丁寧に扱われない経験を何度もすると、自分が今感じた感情を自分も無視しないといけなくなります。自分で自分の感情をないものにしようとして、自分のことを大切にできなくなります。自分のことを丁寧に扱えなくなります。自分は自分のままで価値がある、存在していいと思えなくなります。そのうち自分の感情を無視し続けると、今自分は悲しいのか、さみしいのかだけではなく、楽しいのかもわからなくなっていきます。自分の感情がわからないので、やりたいこともわからなくなり、受け身になります。すべてのことにおいてどうでもいい気持ちになっていきます。自分の人生を生きられなくなります。
感情を無視し無理やりやらせてやれるようになることより、お子さんの将来やりたいという気持ちになったときにやってみようと思える方が大事だと思っています。その方が人生を楽しめるからです。


1回目は、とても緊張していますが、一度つけられることを体感すると、2回目は、楽しんでいる様子もみられます。最後の4回目は、自分の限界に挑戦して達成感も感じているようです。「23秒持てた!!」「自然に消えたー、もうちょっと持てたのにー!」との発言もあったり、何も言わなくても表情がうれしそうだったりします。「自分がんばったー」「やればできた!」と自信につながっているのだと思います。
「自分てすごいじゃん!」「やればできるじゃん!」そんな体験をいっぱいしてもらえるようにしています。


マッチの練習のあとは、アルコールランプの説明、練習と進み、いよいよ本番です。
さとうは、あたたまるとどうなるのかを調べるために、お子さんたちに道具を準備してもらったり、組み立ててもらったりしました。どうやって組み立てるのか、試行錯誤します。自分で準備する、組み立てることも大事にしています。



実験道具の準備が終わると、いよいよアルコールランプに火をつけます。さとうと水を一緒にしてあたためるとどうなるのかの実験です。はじめは、白色だったものが透明になっていく様子、そのうちぶくぶく泡がでてきて、温度がどんどん上がっていく様子、色が透明からうすい黄色、こい黄色になって、茶色、黒色に変化していく様子を楽しみます。


「30度、36度、もう50度……温度がどんどん上がっていくー」「ぶくぶくしてきたー、小さい泡ができて、すぐ消える……」「炭酸の泡みたい……炭酸ってこうやって作ってるのかな……?」「油みたいな色になってきたー」「はちみつの色ー」「泡がつぶれるときにゆげがでるー」「100度こえた?!」「なんか甘いにおいー」「このときのを食べたいー」「泡がチューイングガムみたいにふくらんでるー」「コーラになった」「なんかこげくさい……」「噴火してる!」「うわ、まっくろ」「もくもくしてきた」「黒いビールができた!」と感じたことをお子さんそれぞれの表現方法で楽しみます。発想は自由です。何も言わずに静かに楽しむことも含めて、こちらは見守ります。お子さんが感じたそのままが大事です。

大人は、自分が正解だと思っていることをお子さんに気づかせようとついつい教えたくなります。だいたいの場合教えなくてもいいことの方が多いです。それをどうしても言葉にして認識してあげた方がいい場合は、タイミングが大事です。タイミングや言い方を間違えると大人が言葉にした瞬間にそれはお子さんにとってはどうでもいいことになります。せっかく感じていたのにです。お子さんがひとしきり感じたあとに、特別な感じではなく、さらっと言います。


さとうと水を一緒にしたものをあたためると、最終的には真っ黒になる。煙が出て、こげたにおいがする。
うすい黄色くらいであたためるのをやめると、おいしくなりそうです。次はそのあたりでとめてみます。

実際にやってみると、きつね色の液体が、ひえると固まりました。食べるとほろにがい。べっこあめと呼ばれるあめができました。


コンロも使ってたくさん作りました。自分で作ったものを食べます。お子さんは、「お母さんの分とお父さんの分と弟の分も作りたい!」とおうちの人にも食べてもらいたくなるようです。たくさん作って、持って帰ってもらいました。


マッチが使えた、アルコールランプが使えた、さとうと水をあたためるとどうなるかを知った、べっこうあめを自分で作れたことを体感します。自分にもできる、自分にも作れることを知ります。スーパーやお店に売っているものという遠い世界のものではなく、世界は身近かなものであると知ることで、どんなことでも自分にもできると感じて、人生を自分らしく豊かに生きる力を育んでくれることを願っております。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

三宅恵里香