スペースアドベンチャー2019実施報告

こんにちは! 瀧口です。お盆真っ盛り、いかがお過ごしでしょうか。

さて、2019年8月5日(月)~7日(水)に実施いたしました

スペースアドベンチャー ~ キミも宇宙飛行士に! ~

の実施報告をいたします。

 

【1日目】

新神戸駅および京都駅で集合し、茨城県つくば市へ!


東京まで新幹線で。そこからは在来線です。

富士山が見えました。

つくばエキスポセンター(科学館)に着きました。

プラネタリウムを見たり、見学したり。


この科学館は、体験できる展示がたくさんあります。

国際宇宙ステーション内で育て、種を得ることに成功したアサガオ(つまり無重量状態で最初から最後まで育てたアサガオ)の子孫です。

宿舎へ移動して……

ちょっと一息。

夕食をいただいて、

1日目終了です。

お子さんたちはすぐ仲良くなりますね。

 

【2日目】

おはようございます。
起床予定時間は6:30だったのですが、みんな6:00ごろから待ちきれずに起きだしていて、起き抜けの写真がほとんど撮れず。


万全の準備を整え、トランプをする。


朝ごはんをいただいて、


行ってきます。


宿舎から、徒歩とバスで筑波宇宙センターへ移動します。


30分ほどで着きました。


ロケットのそばで記念撮影。このロケットは模型ではなく、実機です。


これから、宇宙飛行士訓練体験です。セキュリティカードをいただいて施設に入ります。

さて、ここ数年で写真撮影の規制が厳しくなり、宇宙飛行士訓練体験の写真はホームページなどに上げることが禁止されておりますので、どんなことをしたかの紹介は文章でいたします。(過去のブログで上げているのは、規制が厳しくなるより前に撮影した写真です。)(制限がありますが多少は撮影できますので、その写真は参加者の方にはDVDデータでお送りいたします。)

まず宇宙飛行士が着るオレンジ色のジャケットに着替えます。
受けた訓練は3つです。
『船外活動訓練』
『宇宙ローバー操作訓練』
『閉鎖環境適応模擬訓練』
それぞれ1時間ほどかけて実施いたしました。6~7人ほどずつに分かれ、全員3つともやりました。(チームによって順番がちがうだけです)

『船外活動訓練』
国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」についている船外実験プラットフォームに模した施設で、宇宙飛行士チームと管制室チームに分かれて活動し、パーツを取り付けたりといったミッションをクリアするというものです。
無線を使ってお互いにやりとりします。
宇宙飛行士チームの人は管制室チームの人たちの声だけを頼りに行動をします。モックアップ、テザー、ベルクロ、といった耳なじみの無い言葉を覚えて指示に従います。何を言われているか分からなかったり、指示が不明確だったり声が聞き取りにくかったりした場合は、聞き返したりしながらやっていきます。管制室チームの人も、現場の映像は宇宙飛行士チームが持つカメラが頼りですので、あまり見えない中で指示を出します。「カメラ、もう少し離れて(撮影して)ください。」「……了解しました。」などの声が飛び交います。
大きな施設の中で、声だけを頼りにやることの心細さやもどかしさ、緊張感、確実にきっちりやることの大切さなどを感じられたかなと思います。あるお子さんは「時間を読み上げて記録する」というたったそれだけのことでも「時間を読もうとするその瞬間にも時間は経っていくので、どこを読めばよいのかとまどった。かんたんに思えることでも実際にやってみると分からないものだと思った」という学びをしていました。

『宇宙ローバー操作訓練』
月の上で走る車の形をした探査機の操作をしました。
ただ、地球から月までの距離は38万キロあります。電波の飛ぶ速さは1秒間に30万キロですので、地球から月までに約1秒、さらにローバーの画像が地球まで届くのに約1秒、と合計約2秒のタイムラグが生じます。ですので、パソコンの指示ボタンを押すと2秒後に動き出します。手を離すと2秒後に動きをとめます。ローバーについたカメラからの映像を見ながら、2秒後の位置を予測しつつ操作しました。慣れないと押しすぎてしまいます。
月面を模したフィールドにローバーが(わりとランダムな位置に)解き放たれます。ローバーをゴールの枠まで入れられたらクリアです。
制限時間内にやるのは初見ではかなりむずかしく、チームで「もうちょい右」「1秒押して」など声を掛けながらやっていました。車の操作に不慣れなお子さん(たとえば右後ろに進むボタンを押すと車がどんな動きをするか想像がつかないお子さん)にはもちろんむずかしいのですが、ある程度操作感覚がわかっている高学年のお子さんでも障害物でひっくり返ってしまったりむずかしいです。
3年前にもこのスペースアドベンチャーに参加しているお子さんは、3年前はクリアできなくて悔しくて、今回は満を持してかなり真剣にやって、結果クリアしてたいそう喜んでおりました。

『閉鎖環境適応模擬訓練』
国際宇宙ステーションにある居住スペースと実験スペースの広さは、合わせても大型バス1台分ほどです。宇宙飛行士は、そこで多国籍の人と6人で3ヶ月~1年生活します。それを模した空間での訓練です。
最初に宇宙飛行士適性検査を受けました。パソコンで性格に関する問いに答えたり、ランダムに表示される数字を1から順に50まで押したり、その逆をしたりといったかんたんな作業の正確さと早さを調べるものです。
その後、指示役と聞く役に分かれて、指示役がある図形の情報を声だけで伝え、それを聞く役の人たちが色付きのマジックペンで書いて再現するという意思疎通訓練がおこなわれました。「緑色のペンで、紙いっぱいに大きな四角を書いてください」と伝えたとして、紙いっぱいというのは人によってちがいます。紙のはしとの余白は何センチくらいなのでしょうか。「真ん中に、赤のペンでマルを書いてください。書いたら塗りつぶしてください。」「どのくらいの大きさですか?」聞く役も質問OKです。確認しながらもこれで良いのかな? と不安に思いながら作業します。
制限時間後、答え合わせをします。たいていうまく伝わっていません。指示する人が言葉足らずのときもありますし、聞く側の人が誤った理解をしている場合もあります。自分ではきちんと伝えているつもりでも、相手にはきちんと伝わっていないものだというのが良く分かる訓練です。確認しながら丁寧にやっていく。ちがっていたとして「言ったじゃん!」とか「何やってんの」と言ってもしょうがない。それでは宇宙空間でうまくやれない。嫌われるだけで、チームとして前進しません。人間はまちがえる。それを認めた上で、ではどうするかを決めていく。100%絶対にまちがいをせずに行動し続けられる人はいません。(本人はまちがっても気づかないので、自分はやれると思ってしまうのですが。)そういうセンスを身につけられる訓練です。
ホワイトパズルをしたり、閉鎖環境内の見学をしたりもしました。ホワイトパズルというのは、白無地のみのジグソーパズルです。図柄のヒントが無く形のみで判断します。多少ちがっていても入ってしまうこともあるので大変むずかしいです。宇宙飛行士の選抜試験では、何千ピースのものを何日もかけて(1日1時間など)やったものです。今回はその簡略版。もちろん図形の認識能力も見ますが実際には解くことそのものが目的ではなくて、うまくいかないときの心の状態を見るためのものです。イライラしたときに、どう行動するか。すぐ攻撃的になる人、自分と折り合いがつけられない人は狭い空間で何か月も他の国の人と一緒にやっていくには向きません。

さて、これら3つの訓練を受けて気がつくことは「別に特別なことはしていない」ということです。
宇宙飛行士も、実は超能力があるわけではありません。ごく普通の人です。もちろん、英語が話せたり医療や学術といった専門分野を持っていることは必須ですが、それも別に超人ではありません。普通のことを、丁寧にやる。心穏やかに、自分と人のことを大切にし行動する。どの仕事でも普遍的に必要なことをやっているだけなのです。(それがむずかしいのですが。)学校の勉強や、普段の生活の人間関係、あいさつをすることや努力すること、自分や人を大切にし行動することがそのまま、将来の仕事につながることを体感してくれていたらいいなと思います。


ご飯を食べて


展示室の見学です。


1つ1つがでかいです。


これをロケットに載せて宇宙に運びます。


これくらいの大きさです。


国際宇宙ステーションの実験棟「きぼう」の実物大模型です。
国際宇宙ステーションの大きさは、太陽光パネルも含めるとサッカーグラウンドほどの大きさがあります。50回以上ロケットやスペースシャトルを飛ばして、宇宙空間でつなぎ合わせて作り上げました。


その後、施設の見学ツアーに参加しました。


施設内をめぐりました。


職員の方に解説していただきました。


宇宙メダカ(宇宙で生まれたメダカ)の子孫です。
最初のメダカは宇宙酔いをしないメダカが選ばれたんですよね。


この後ろにある宇宙服は、デザイナー学校で募集された「着てみたい宇宙服」です。


さて、ここからまた写真禁止ゾーンです。携帯電話やカメラを預けてから入りました。

中にはISS(国際宇宙ステーション)や衛星やはやぶさ2などの管制室があり、働いている方たちの様子を見学させていただきました。最近でははやぶさ2の試料採取ミッション成功の際にテレビで映っていたところですね。24時間体制で、365日ずっと管理し続ける。NASAの管制室とも画面でつながっていました。職員さんは私たちに手を振ってくれたりもしました。

パソコンやモニターが何台かあって、職員さんたちが何人か座っていて画面を見たり作業をしているだけです。でも、静かな熱がありました。伝えにくいのですが、ここに来れただけで、今回来た価値がありました。


その後はお土産を買って


記念撮影をして宿舎に戻りました。


夕食です。

夕食後、筑波宇宙センターの展示室で見学したものについて、何か1つ発表してもらいました。
いきなり言ったわけではなく、見学前に後で発表することは伝えてあります。そうすることで漠然と見るのではなく何か1つを集中して見るようになり、学びが深くなります。


展示に書いてあっても何となくで読んでいるものやそもそも読まないものも、誰かが解説してくれると分かりやすく理解できます。衛星一つ一つに役割があることが分かります。2や3と言った進化で何が変わったのか、技術の進歩もわかっておもしろいです。

そしてお風呂に入って就寝です。

【3日目】

朝食をいただいて、


すかさずカードゲーム。


ペットボトルロケット作りをしました。


飛ばします。


さらに、この3日間で学んだことを何か1つ、まとめて発表してもらいました。


あるお子さんは、ロケットを飛ばすことについて話していました。
ロケットなんて1人で飛ばしてるものだと思っていた。(そんなわけないけどそこまで考えていなかった。)
でも、実際には何十人もの人が、たくさんの国の人たちが協力して時間をかけてやっていて、1つの夢にそれほどのものを集結しててやっていてすごいと感動した、そんな話をしました。
こうやって書くと表面的な理解に思えるかもしれませんが、施設を見たり働いている人を見たり、いろいろな説明を受けた後の言葉ですので、実感として言っているようでした。


昼食を食べて、


ちょっとゆっくりして、


帰ります。


新幹線です。

京都駅、新神戸駅にて解散しました。

すべて予定通りにできました。
今回の活動で各人が感じたことが、今後の生活に活きることを願います。というか確信しています。

ではでは。

 ガリレオサイエンス教室 瀧口幹浩